ジョルノはふと、ページを捲る手を止めた。
顔を上げてみれば見下ろす真っ黒な目。その身体が作る影が本のページにかかっている。
軒先。緑の葉と細かな白い花に囲まれてジョルノは読書をしていた。
「こんな所にいやがったか」
「こんにちはミスタ」
「ボンジョルノ、ボス」
ページを捲る手は止まっている。それでもその本は閉じられない。
ミスタが目を離したら、またすぐに読書を再開してしまうとでもいいそうな。
「見つかってしまいましたか」
「ああ、見つけたぜ」
それだけを聞いて、ジョルノは何故か嬉しそうに眼を細めた。
その表情を見てもミスタは顔色を変えない。ただジョルノの前に立ち、待っている。
「それじゃあ、帰ろうかな」
パタンと、あまりにも軽く閉じられた本の間に、白い花が栞のように一片流れた。