俺はこれが夢なんじゃないかって思って頬をつねろうかと思ったんだけど、もしもこれが本当に夢で、そんなことをしたら醒めてしまうかもしれないって思ったら、いやこの夢を堪能するべきだろうと思って身動き取れなくなってとりあえず唾を飲み込んだ。
真ちゃんが俺の目の前でオナってる。
え? いやいやいや。 え? 夢だよな? うん、夢だ。間違いない。だって俺達は健全な男子高校生で、男子高校生ならオナるのは当たり前でだからこれは現実? いやいや違う。健全な男子高校生が相棒の前でオナるわけないだろ。相棒ってチンコのことじゃねぇよ。いやマジ何言ってんの俺大丈夫?

「あ……た、かお…ッ」

はい夢確定。なんで真ちゃんが俺でオナるはずがあろうか。いやあるまい。目の前で真ちゃんは、制服の下と上着を脱いで、ワイシャツ一枚でよがってる。開いた長い脚の間で、真ちゃんの真ちゃんが立ち上がっている。ぐっちゃぐちゃだ。エロい。エロい。エロいよ、夢の中の真ちゃん!!

「ふ、ぅあ、はっ……あ、」

吐息混じりに掠れる高い声。なんなの。真ちゃんは毎晩こんなエロい姿でこんなエロい格好でこんなエロい声出してオナニーしてんの。いやいや落ち着け高尾。これは俺の妄想であって実際にそうとは限らないじゃないか。いやでもほんと、夢とは思えないほどリアル。だって。

「んッ、」

だって真ちゃんの熱が判る。空気がどんどんと熱くなっていく。先走りのゆったりと滑り落ちる様子も、しごく手の動きも何もかも目の前で。
……手?
真ちゃん、テーピング、して、無い?
してない!!

情けないことにただでさえ反応していた高尾さんの高尾さん、俺の息子はその事実に一気に力強くなった。なんなの。俺の萌えツボは真ちゃんの左手なの? でもだって、あの、あのバスケ以外では決して現れない細く節ばった手が、神聖な神の手が、こんな欲望にまみれているなんて、興奮するしかないだろう。
俺はもう真ちゃんから目が離せないまま、自分のをしごきだした。一人で乱れる真ちゃん。最高のオカズっす。ごちになります。ほんと。
だけども、あ、やべえもうイク、って思った瞬間にふと気がついた。
真ちゃん、一回もイってなくね?
そう思って見れば真ちゃんはもどかしそうに自分のものをいじりながら、だけど決定的な刺激は与えられないみたいで苦しんでいた。涙がぽとりぽとりと溢れるのが見える。ああ、真ちゃん、オナニー下手そうだもんな。
イきたくてもイけないもどかしさに苦しんでいる真ちゃんもそれはそれはそそるんだけど、流石に涙を見せられちゃあかわいそうになってくる。
仕方ない、手伝ってあげよう。
なんてそんなのはもちろん言い訳半分。俺が真ちゃんに触りたいだけってのはその通り。そろそろと近づいて、真ちゃんの息が耳にかかって、そんで、

「たかお」

目が覚めた。
現状を確認すれば国語の授業中で、なんか先生が光源氏がどんだけ変態だったかみたいな話してる。
……わかってたけどね!!こうだろうって!!
せめて触ってから覚めたかった。間近で溶けた目が見たかった。でもとりあえず俺はトイレに行くべくそっと挙手する。仕方ない。あそこで真ちゃんの涙を見過ごすようなら、ハイスペック彼氏は名乗れない。





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